
本を読む目的は、ただ「読んで終わり」ではなく、読んだ内容を知識として記憶に残し、その知識を仕事や人生に活かす事です。
読んだ直後は覚えているのに、時間が経つと忘れてしまうのでは読書をした意味がありません。
そこで読んで記憶に残す読書法を3つ解説しますが、特別に難しい事ではありません。
簡単に言えば、「本の一字一句まで覚える必要はない」という事です。
読書の記憶は「暗記」ではありません。
もちろん試験勉強の読書は「暗記」になりますが、「暗記」でもただがむしゃらに覚えようと思っても、覚えられるものではありません。
普通の読書も試験勉強も共通するのは「文字」を読むのではなく、「ポイント」を読むのです。
「何が言いたいのか?」
「何が大切なのか?」
「何が問題なのか?」
これは普通の読書も勉強の読書も同じです。
記憶に残す読書法は、この記事で解説する方法以外にもいろいろありますが、まずは基本中の基本である3つの方法についてお話しますので、ぜひ最後までお読み頂き、あなたの有益な読書のお役に立てて頂ければと思います。
本の内容は「目次」だけで8割分かる
これは読書法の鉄則とも言うべき事ですが、「目次」をまず一読する事です。
「目次」には3つのメリットがあります。
「目次」のメリット①
まずは「目次」のタイトルやサブタイトルは、必ずその章や項目の内容を1、2文にまとめたものです。
本全体のテーマは当然、本のタイトルで分かりますが、さらに「目次」がある事によって、その本の中で「あなたが何を知りたいのか?そしてそれがどこに書いてあるのか?」がすぐに分かるのです。
これはよく言われている事ですが、本は何も1ページ目から順番に読む必要はないのです。
極端な話、あなたがその本から知りたい事が分かれば、それ以外の内容は不要と言えるのです。
あなたも経験があると思いますが、1ページ目から読み始めたものの、前半までは著者の振り返りであったり、本題に入るまでのプロセスや前説であったり、結局は読まなくてもあなたの読書の目的には関係なかったという事になるのです。
それが「目次」を真っ先にチェックする事で、読むべき優先順位と要不要が分かるのです。
「このテーマは他の本で読んだ」
「この内容はすでに知っている」
このレベルの事は「目次」からでも十分わかります。
「目次」は本を読んでもらうために読者の興味を惹き、その章や項目の一番大切な内容が凝縮されています。
つまりその「目次」で興味を持たなければ、内容まで読むまでもないという事になります。
私も以前までは実際に興味が湧かない「目次」の章や項目を読んでいましたが、十中八九、読まなくても良かったという結果になっています。
「目次」のメリット②
2つ目のメリットは、本全体の流れとポイントが分かるという事です。
これは非常に重要な事で、似たようなテーマを扱ったタイトルの本でも、著者が違えば当然内容もポイントも違うものです。
何かを学ぶための入門書は、需要の高いテーマであれば複数の本が出版されています。
実際に内容を比較して選ぶと思いますが、その時に「目次」を読めばだいたいの内容の違いは分かります。
本の全体像が分かれば、本を読む前の「予習」にもなります。
いきなり本文に入るよりも、まず全体像をつかんでから読み始めるのとでは、その読書効果には大きな違いが出てきます。
後者の方が記憶にも残りやすくなる事は言うまでもありません。
「目次」のメリット③
最後3つ目のメリットですが、これは少し特殊なメリットになります。
それは「マインドマップ」作成時のベースに使えるという事です。
「マインマップ」につきましては【思考法・思考術】のカテゴリーで詳しく解説していますが、簡単に言えば「頭の中で考えている事を、脳内にある状態に近い形で書き出す事で、記憶の整理や発想をしやすくするノート法」です。
脳内の整理に「目次」を活用し、さらにマインドマップに書き出す時にも、この「目次」を利用するわけです。
つまり「目次」は本の内容が凝縮されているわけですから、知識として整理するのに最適なのです。
当然ですが、本の内容を記憶するのにも効果的です。
以上3つのメリットをお話ししましたが、この「目次読み」は、「速読」の一つの方法でもあり、内容を早く読むのではなく、内容を厳選して早く読む読書法でもあるのです。
これから読書をする際には、この「目次読み」を意識して、効果的な読書にお役立て下さい。

「目次」はその本の内容そのものです。3つのメリットを理解し、効果的な読書のために活用していきましょう。
本は買ったその日に必ず読み始める
本を買ったという事は、「読んでみたい!」と思ったから買うのであって、お金を出してまで読みたい本であるわけです。
脳の記憶に残りやすい状態とは、脳からドーパミンと言う物質が出ている状態で、このドーパミンは、興味や関心、好奇心が高まった時に出るものです。
分かりやすく言えば「ワクワクしている状態」と言う事です。
これは何でもそうですが、始めてすぐの事は覚えている事が多いのが、このドーパミンの成せる業なのです。
つまり何でも始めてすぐの時には興味・関心・好奇心が高い状態にあり、徐々にそれらが減退するにしたがって、ドーパミンも出にくくなってきます。
その結果、「始めても続かない・・・」「続けても身に付かない・・。」という事になってくるのです。
読書にも言える事で、「本を買った日に一番ドーパミンが出ている」のです。
つまり記憶に残りやすいのが、本を買ったその日という事になるのです。
しかし買ったその日に、本1冊を読み終える事が出来ない場合、どうすれば良いのか。
そこで前項の「目次読み」を思い出して下さい。
1冊全部読み終える事が出来ないのなら、「目次」を見て、重要な部分だけ先に読んでしまうのです。
重要な部分だけをドーパミンが出ている状態で読んでしまい、記憶に残りやすくしておけば、後は必要に応じて読めば良いのです。
「いつか読むだろう」
そう思ったら、おそらくいつまでたっても読む事はなくなるはずです。
【鉄は熱いうちに打て】のことわざ通り、【本は買ったその日に読め】は脳科学的に言っても、まさにその通りなのです。
また買ったその日に読み始めると、ワクワク状態で読むわけですから、読むスピードも速くなります。
「面白くて一気に読み終えてしまいました!」と、よく帯やレビューの書評に書かれていますが、まさにこの「ワクワク状態」と言えるのです。
記憶にも残りやすく、読書スピードも速くなるという、まさに一石二鳥の読書法と言えるのです。
ぜひこの「本を買った日のワクワク感」を無駄にしないようにして下さい。

本を買ったその日の「ワクワク感」が、記憶に残す読書のポイントです。言い換えれば、読む時間を取れる時に本を買うのが良いでしょう。
重要な部分を読み返す3回精読法
本の全てを読む必要はないとお話ししましたが、重要な部分でも1回の読書だけでずっと記憶に残す事は、よほど強烈な印象とワクワク感がないと難しいです。
そこで「ワクワク感」の次に意識したいのが「読み返し」です。
1冊の本全てを読み返すには時間もかかりますので、効率よく読書効果を高めるには、次の手順で3回読み返す事です。
3回精読法①
まず1回目は、すでにお話しした「目次読み」で重要な内容を見つけるために読む事です。
これで読むべき部分と読まなくてもよい部分を選択します。
これは「本を買ったその日」に行う事で、読書効果を高める事もすでにお話ししました。
3回精読法②
次に2回目ですが、これは「マーカー&メモ読み」です。
重要な部分を1回目で読みましたが、さらにその部分を読み返しながら、「目次」に関する最重要ポイントとなる数行にマーカーを引くのです。
ここで少し脇道にそれますが、本の読み方について触れておきます。
本を読む時に、なるべくきれいに読みたい方もいると思います。
折り目や書き込みなどしたくないという方です。
もちろん読み方は人それぞれですし、「こう読まなければいけない」と言うルールも決まりもありません。
買ったままの状態をなるべく保ちながら、記憶に残る読み方が出来れば、それで良いのです。
ただそれだけで記憶に残す事は、ほとんどの方は難しいと考えます。
本を読む目的は、読んだ内容を知識として残す事であり、読書そのもので満足する事ではありません。
もしそれでもきれいに読みたいという方は、この項目は読み飛ばして頂いて構いません。
他の読み方で記憶に残す方法を探して下さい。
さて話を本題に戻します。
マーカーは言うまでもなく、この次の3回目の読み返しのために、目立たせるためです。
そしてさらに読んだ内容についての気づきやアイデアなどを、余白にメモしていきます。
これは内容を記憶に残しやすくするために、自分の考えをそのページに残すためです。
本の内容を知識として残すだけでなく、その内容を実際のあなたの仕事や人生に活用するために、あなたの考え方とリンクさせるわけです。
こうする事で脳内での重要度が高まり、さらに記憶に残りやすくなるのです。
3回精読法③
そして3回目の読み返しで「アウトプット」を行います。
アウトプットにつきましては、【読書がスキルアップの最強ツールである理由とは?】の記事で解説していますので、そちらをお読み下さい。
本の内容はインプットするだけでなく、アウトプットする事で知識として定着していきます。
勉強でも「学んだ事を人に教える事が一番の勉強法」と言われています。
「目次のメリット」でもお話しした【マインドマップ】に書き出しても良いでしょう。
YouTubeなど動画解説を行っても良いでしょう。
「目次読み」で重要ポイントを見つけ、「マーカー&メモ読み」でその重要ポイントの復習と自身の考えとのリンクを行い、最後の仕上げにアウトプットを行うわけです。
その後は、本そのものを読み返す必要はなく、そのアウトプットしたメディアを活用すれば良いのです。
この3回精読法は、聞いたり読んだりするだけでは面倒と思われるかもしれませんが、習慣化すればそれほど大変ではありません。
もともと自分の意志で読書を行うのであれば、苦痛に感じる事はないはずです。
まずは習慣になるまで、続けてみて下さい。

本全体を3回読み返すのは大変ですが、重要なポイントに絞ればそれほど大変ではありません。「目次読み」「マーカー&メモ読み」「アウトプット」の3回精読法の効果をぜひ実感して下さい。
映像時代だからこそ読書が重要
今ではテレビも地上波だけでなく、有料配信サービスも含め、チャンネル選択肢が豊富です。
以前のようにテレビ局が一方的に番組を放映するのではなく、自分の好きな番組を選べるようになってきています。
そうなると「本を読む」という習慣が少なくなってしまいますが、だからこそ「読書」がより重要になるのです。
映像は確かに楽に楽しく観る事が出来ますが、楽に楽しく観る事で、想像力が必要なくなってしまうのです。
つまり想像力を働かせて、頭の中に描く情景や場面まで、映像が一方的に押し付けてしまうからです。
これは大切な事ですので、繰り返し他の記事でも書いていますが、「文字」は人間にとって「言葉」と同じく重要な伝達手段です。
「文字」を読み、「言葉」を使う事で脳が発達し、そして活性化していくのです。
それが映像からの一方的な押し付けで、脳は働く場を失い、機能も衰退し、老化が早まってしまうのです。
もちろん映像も今では重要な情報収集の手段であり、娯楽の一つではありますが、それでも「読書」の重要性は忘れてはいけません。
ぜひ「読書習慣」を続け、いつまでも脳を活用し続けて頂きたいと思います。