
「考える力」や「思考力」は、いつの時代でも求められるスキルですが、このスキルを重要視したことはあるでしょうか。
おそらくほとんどないかと思います。
その理由は、これまでは「知識」が最強と思われてきたからであり、それが「学歴社会」を生んできたからです。
しかしこれからは単なる「知識」だけでは対応できない時代になってきており、単純な知識でこなせる仕事は、AIに置き換わり始めているからです。
自動車の運転でさえ、「安全運転の知識」は「自動運転」に変わりつつありますし、知識はもう人間のものではなく、AIに任せる段階に来ているのです。
しかしまだまだAIが人間に遠く及ばない事があります。
それが「考える力」であり、「思考力」なのです。
AI化の中でも求められる脳力
もちろんAIのレベルも日々進化しており、AIの「考える事」「思考力」も以前に比べれば高くなっては来ていますが、それでも人間の脳のレベルには達していません。
人間の「考える力」「思考力」は「創造力」につながり、日々新しい「モノ」が作り出され、「サービス」が生まれてきています。
まださすがにAIだけでは、これだけの「創造力」は生み出す事は出来ませんし、まだまだ時間はかかります。
当然「知識」が不要と言うわけではありません。
これからの必要な「知識」とは、この「考えるベースとなる知識」であり、「思考するための知識」なのです。
ただ多くの方が「年齢を重ねると、考える力や思考力を高める事は出来ないのでは?」と思い込んでしまっています。
この考える力や思考力を高めるのは「年齢」は関係なく、「脳を使う事」であり、「変化を求める事」です。
つまり日々脳に刺激を与える事を意識する事なのです。
そこで誰でも出来る具体的なトレーニング方法をご紹介していきますので、ぜひ実践して下さい。

歳を取ると脳が衰えるというのは大きな誤解です。脳はトレーニングを繰り返せば、何歳からでも育てる事が可能なのです。
達成感が脳を活性化させる
まず1つ目のトレーニングが「達成感を感じる事を繰り返す」事です。
年齢を問わず、何かにチャレンジして結果を出せば、うれしく感じるはずです。
このあなたが「うれしく感じる」事で、あなたの脳も喜びます。
これはあなたも一度は聞いたことがあるかもしれませんが、「ドーパミン」と言う物質が分泌される状態です。
この「ドーパミン」とは、快感を生み出す脳内物質の一つで、これが多ければ多いほど、喜びが大きくなるのです。
さらに脳は一度この喜びを感じると、また同じ喜びを感じたいと思うようになり、再現しようとします。
脳がそう思う事で、あなた自身も喜びを得たいと思うようになり、それがあなたの行動につながるわけです。
つまりわざわざ「達成感を感じよう」と努力しなくても、勝手に行動するようになるのです。
それが自然と「考える力」になり「思考力」も高まってくるようになるのです。
しかし「達成感を得るだけのチャレンジはなかなか・・・」と思う方もいますが、何もそんなに大ごとなチャレンジでなくてもいいのです。
あなたにも経験があると思いますが、困っている人を助けただけでも、お礼を言われたら「助けてあげられた」と言う達成感は得られます。
そんなに大ごとなチャレンジでなくてもいいのです。
1年に1回程度の大きな達成感を得るよりも、毎日小さなチャレンジと達成感を繰り返す方が、断然効果は高いです。

達成感と言う「快感」に脳が刺激され、さらに新しい神経細胞が作り出されます。この繰り返しで思考の老化が防げるのです。
「生きた学び」で常に脳をアクティブ状態にする
2つ目のトレーニングが「生きた学びを意識する」事です。
先ほど単なる「知識」ではこれからの社会では対応できなくなるとお話ししましたが、ここで言う「生きた学び」は全く違う「知識」です。
これまでの「知識」とは、教科書やマニュアルなどの「与えられた知識」を学ぶ事でしたが、「生きた学び」は、知識のインプットから行動につなげるのではなく、まず行動し、そこから生まれる課題や問題点に対して必要な知識を学ぶという事なのです。
そうすることで、「知識を与えられる」という受動的な考え方から、「知識を得る」という能動的な考え方に変わり、より脳をアクティブな状態にすることが出来るわけです。
「資格試験や検定試験、社内試験などは与えられた知識が必要なのでは?」
確かにその試験自体が与えられた試験である以上、与えられた知識が必要ですが、それは試験に合格するという目的の知識でしかありません。
試験は合格する事が最終目的ではなく、試験によって得た資格を実践的に活用する事が目的のはずです。
試験に合格するという事は、単にスタートラインに立つ資格、つまりこれからその分野に参加する資格を得たに過ぎません。
その後の実践の場でこそ、課題や問題点に直面し、本当に必要な知識を得る事になるでしょうし、逆にそうしていかなければ、せっかく得た資格も生かせなくなってしまいます。
「与えられた知識」を得ただけで満足せず、「生きた知識」を学ぶ事を意識していきましょう。
その結果、脳が活性化する事は言うまでもありません。

知識は「与えられる」のではなく、自分にとって本当に必要な知識を「見つけていく」のです。
脳力アップに欠かせない「アウトプット」の重要性
3つ目のトレーニングが、「アウトプットをする」事です。
ここまでの2つのトレーニングを実践するだけでも、脳力が格段にレベルアップし、「考える力」も「思考力」も磨き上げられますが、最後の仕上げとも言えるトレーニングが、この「アウトプット」です。
「アウトプット」とは、つまり「人に教える」「文章にまとめる」と言った、「脳内を体系化」する事です。
脳内ではいろいろな考えや知識が個々に存在しているに過ぎません。
もちろん脳内にあれば、それを引き出して使う事は出来ますが、それではせっかくこれまでの2つのトレーニングで活性化している脳を、フリーズさせてしまう事にもつながります。
そこで脳内にある考えや知識を、さらに「体系化」する事で、脳の活性化をさらに促進させるのです。
そのために効果的なのが、「人に教える」「文章にまとめる」というアウトプットなのです。
どちらも「人に伝える」事を意識する事が大切です。
そうなると自分では分かっている事でも、それを人に伝える事を考えると、分かりやすく、的確にまとめる必要があります。
そのためにはまず脳内にある個々の考えと知識の「整理」が必要です。
そして人に伝えるために、その整理した後「構成」し、そして最後に「伝える」「教える」「書く」というアウトプットを行うわけです。
この体系化からアウトプットによって、「考える力」も「思考力」もさらにレベルアップしていきます。

考えや知識は脳内に置いておくだけでなく、体系化してアウトプットする事によって、さらに脳力がアップしていきます。
3つのトレーニングをルーティン化する
この3つのトレーニングは、言うまでもなく一度きりという事ではなく、繰り返し行う事が重要です。
繰り返す事によってルーティン化し、無意識に行えるようになってきます。
初めは意識しながら行う事が必要で、どうしても面倒に感じる事もあるかと思いますが、何事も繰り返し行えば、それが当たり前になってきます。
そしてその当たり前があなたの行動の一部となり、さらに「考える力」も「思考力」も限りなく磨かれていくのです。
人間の脳力に限界はありませんし、年齢も関係ありません。
年齢のせいにする人は、新しいチャレンジや学ぶ事を止めてしまい、勝手に自分で脳に限界を与えてしまっているだけです。
ぜひここでお話しした3つのトレーニングを実践して下さい。
そのトレーニング効果を体感し、それによって得られる結果に一番驚くのはあなた自身なのです。