
人間の行動にも、物理の原理が働いています。
厳密に言いますと「物質的な物理」ではなく、「心理的な物理」です。
よく例に出されるのが「自動車」です。
今ではオートマティックの車がほとんどですので、あまり【ギア】を意識して運転する事はありませんが、それでも自動的に【ギア】はチェンジされているのです。
スタートの時には「ローギア」で、車を動かし始める大きなパワーが必要ですが、パワーが大きくてもスピードは出ません。
そして動き始めたら、次に加速を始める「セカンドギア」にチェンジします。
このギアでは「ローギア」ほどのパワーは必要なく、徐行レベルのスピードになります。
次に通常走行レベルの「サードギア」になりますが、ここになるとすでに車は加速されているので、車を動かすパワーはほとんど必要なく、その加速をさらに加速するためのパワーに変わります。
このように動き始めるにつれて必要なパワーは少なくなりますが、加速度は上がっていきます。
これが人間の行動でも言える事なのです。
何かを始める時に一番心身的なパワーが必要になりますが、行動が習慣化し、継続する段階になれば、始めた時ほどの強いパワーは必要なくなるのです。
この段階では「行動を始める起動力」ではなく、「行動を続ける維持力」が必要になるという事です。
しかしここで自動車と人間が違うのは、一度行動を起こして「起動力」から「維持力」までを経験したら、次に行動を起こす時には、その経験が行動力に転換されます。
より大きな行動を起こしても、そこに費やされるパワーはより少なくて済むという事なのです。
そしてそれがまた経験となり、「行動力」に転換されていきます。
これがタイトにある「行動が行動を呼ぶ成功スパイラル」なのです。
そこでこの記事では、その成功スパイラルの具体的な構築法を解説していきます。
「PDCA」ではなく「IDCAP」
「PDCA」は今ではビジネスの基本とも言えますので、ご存知の方が多いと思います。
本来は品質管理と業務改善のためのフレームワークですが、今ではビジネス全体で活用されている「必須ツール」です。
この記事は「PDCA」の解説ではありませんので、ここでは省略します。
この「PDCA」にはデメリットがあり、まだPDCAを自分のモノにしていない方には、使いこなせないのです。
「PDCA」の中で一番重要なのは「D」つまり「Doの行動」です。
しかし多くの方が「P」つまり「Planの計画」を重視してしまっているのです。
これは安全志向や完全主義者の方に多く、徹底的に「P」を行いませんと、次の「D」に移らないのです。
もちろん行動する前には、その行動の根拠は必要です。
しかし必要以上に「P」にエネルギーを費やしすぎますと、「D」を行うタイミングを逸してしますのです。
「D」に使うべきエネルギーとモチベーションを「P」に費やされてしまうという事です。
つまり本来「PDCA」に配分されるべきエネルギー配分を間違えてしまっているのです。
そこでまずは「PDCA」ではなく、「IDCAP」から始めて下さい。
最初の「I」は「IdeaのI」つまり「アイデア」です。
いきなり「P」を考えるから「D」になかなか移れないのです。
まずは「I」つまり「アイデア」レベルで良いのです。
実際に行動しませんと、得られる結果は分かりません。
それなのに「P」にいくら時間を費やしても、意味がないとは言いませんが、効率は悪くなります。
「D」の重要性を理解して「PDCA」を実践しているなら問題はないのですが、あまりにも「P」ばかり重視して、「D」を行わない方が多すぎます。
まずはアイデアレベルの根拠ですぐに行動に移り、後はチェックと改善を行います。
その後に、行動から得られた結果を基に、本格的な計画を立てれば良いのです。
実際に行動からチェック、改善を行い、計画を立てる段階で、また新しい「アイデア」が出てくるでしょう。
それを計画に盛り込み、またすぐに行動を起こすわけです。
この「IDCAP」のサイクルに慣れてくれば、アイデア=計画になってきますので、そうなれば正しいバランスで「PDCA」を回せるようになってきます。
せっかくのチャンスを逃さないように、まずはこの「IDCAP」を意識するようにして下さい。

「PDCA」を効果的に活用するためには、正しいエネルギー配分が必要です。最も重要な「D」を中心に考えるようにしましょう!
「睡眠」を挟む事で行動も変わってくる
【すぐに動く行動力は環境作りから始まる】の記事でも書きましたが、朝の時間は非常に貴重です。
1日の中でも最も高いパフォーマンスを出せ、十分な睡眠を取った直後ですので、身体も脳も疲れてないからです。
そんな最高の状態で、昨日の残務やいつでも出来るような雑務に時間を割くのはもったいないです。
それでは朝一にスタートダッシュで行動し、仕事に取り掛かるにはどうすれば良いのでしょうか。
それは前日のメインタスクを最後まで終わらせず、朝の高いパフォーマンスな状態で取り組めるように、わざと残しておくのです。
先ほど「前日の残務」に朝の時間は使わないとお話ししたばかりですが、「残務」と「メインタスク」は違います。
残務や雑務は文字通り、「残ってしまったがいつでも出来るようなタスク」の事です。
しかし中途半端に残すのは「メインタスク」です。
もしそのメインタスクで行き詰っている場合や、より良いアイデアを探っているのでしたら、その日には行わず、次の日に回すという事です。
メリットは「夜を超す」事なのです。
まず行き詰っていたり、アイデアを探ったりしているような場合は、まず「睡眠」を挟む事です。
睡眠する事で無意識的に脳が「行き詰まり」の解決や「アイデア」のひらめきを手助けしてくれるのです。
さらに睡眠を挟む事で、朝の高いパフォーマンスにリセットされ、前日の行き詰まりやアイデアの悩みがウソのように解決する事はよくある事です。
そのため無理にその日に完結しようと思わず、翌日に持ち越した方が良い結果を得られる事が期待できるのです。
それでよい結果が出れば、それがまた行動につながり、さらに次の日の朝も充実するわけです。
朝にやる事が決まっていますので、朝の貴重な時間を無駄にしないで済むわけです。
成功スパイラルの起点は「朝」にあると言っても過言ではありません。

成功スパイラルの起点は「朝」の使い方にあります。睡眠を挟む事で、前日とは全く違った状態で行動できるようになる事を意識して下さい。
「やる事」よりも「やらない事」を明確にしておく
どんなん行動力があっても、「やらなくてもいい事」にエネルギーや時間を使うべきではありません。
これは優先順位とは違い、そもそもやらなくてもいい事です。
行動が出来ない人は、得てしてこの「やらなくてもいい事」ばかりに時間を取られ、結果的に行動が起こせなくなっている場合が多いです。
しかしその時は「やらなくてもいい事」に気づいていないため、ついついやってしまうのです。
これは目の前の事で精一杯の場合にやりがちで、つまりは行動の先にある目的があいまいである事がほとんどです。
「何のために今行動しているのか」という目的意識がはっきりしていれば、「やる事」と「やらない事」は明確になっているはずなのです。
「やる事」は行動を起こしていけば次々にクリアできていきますが、「やらない事」はあらかじめ明確にしておきませんと、どこかで時間を取られることになってしまいます。

行動に対する目的意識を明確にし、「やらなくてもいい事」に時間とエネルギーを使わないようにしましょう!
何事も「真似」から行動につながる
人の「真似」をする事に抵抗を感じる人が多いですが、「真似」はあなたの貴重な時間を節約し、スタートダッシュをするためには必要な事なのです。
何事も行動をスタートする時には、ほぼゼロの状態です。
試行錯誤しながら結果を出していくのも良いですが、すでに上手くいっている人の「真似」をすれば、ゼロから始める必要がなくなります。
この「真似」に抵抗を感じさせるのが「プライド」や「個性」です。
しかし「プライド」や「個性」にこだわるのであれば、まずはある程度の結果を出す必要があります。
何も出来ていない状態では、「プライド」や「個性」など行動の邪魔でしかありません。
行動力の源泉は「基本」です。
何事も始めが肝心であり、ここで基本を無視して応用から始めてしまっても上手くいく事はほとんどなく、結局スタートに戻る事になってしまいます。
基本に忠実にスタートダッシュを成功させるには、「真似」する事が一番なのです。
「真似」をするには「素直さ」が必要です。
そこに「自我」が入り込むと、「真似」に抵抗を感じてしまいます。
まずは素直になり、スピーディーな行動を優先する事を考えて下さい。

「プライド」や「個性」は、まずスタート後の結果を出してからこだわるものです。まずは「真似」する事でスタートダッシュを最優先するようにしましょう。
常にメモを取れる状態にしておく
以前でしたら「紙に書く」事がメモでしたが、今では「スマホ」と言う便利なツールがあります。
「スマホ」ではテキストメモだけでなく、音声メモや動画メモも可能です。
アイデアや気づきはいつどこで見つかるか分かりません。
車の運転中や混雑の電車内かもしれません。
そんな時に紙にメモするのは難しいですが、スマホでしたら状況に応じたメモが可能です。
そんなアイデアや気づきに限って、タイミングを逃すと忘れてしまう事が多かったりします。
さらにそのアイデアや気づきから、行動の枝葉を広げて行くためには、アイデアや気づき自体を覚えておかなければなりません。
そのためにもメモするタイミングは逃すべきではないのです。
昔は紙がなければ、手の甲にメモしていたものですが、今ではペンすらも必要ないのです。
そのアイデアや気づきが行動につながる事を考えれば、メモの重要性は言うまでもありません。
いつの時代でも「出来る人」は、ほぼ例外なく「メモ魔」です。
それはいきなりの記憶が当てにならない事を理解しているからであり、それでもアイデアや気づきが重要である事も理解しているからです。
行動につながる種は、どこにあるかは分かりません。
目が覚めている間は、常にメモを取れる状態にしておくことが、行動力にもつながってくる事を覚えておいて下さい。

「メモ」は「行動」に直接つながる重要な習慣です。今ではスマホだけでテキスト・音声・動画でメモが出来ますので、アイデアや気づきを逃さないようにしましょう。
時の流れは年々スピードアップしている
かつては【10年ひと昔】と言われていましたが、今では【1年ひと昔】と言っても過言ではないでしょう。
去年主流だったものが、今年は時代遅れになっているもの数多くあります。
これは知識や情報も同じです。
常に知識も情報もアップデートしていかなければ、すぐに古くなってしまいます。
しかしただインプットしただけの知識や情報では、世の中のスピードにはついて行けません。
そのためにも「行動」する事で、世の中の動きについて行くしかないのです。
行動から結果を出し、さらに行動から結果につなげる・・・
この繰り返しだけしか、世の中の動きについて行く方法はないのです。
日々知識や情報のアップデートをしていても、実際に行動し結果を出してみないと、その知識と情報の正しさは分かりません。
さらにスピーディーに行動しませんと、古い知識と情報で行動してしまう事になります。
「昨日」はもう過ぎ去った「過去」です。
「今日」と言う新しい現在を行動し、常に新しい結果を出すようにしていきましょう。